川村さくら、平岡春人
奨学金の返済をめぐり、日本学生支援機構が半額の支払い義務しかない保証人に全額を求めたのは違法だとして、北海道内の保証人ら2人が過払い分の返金や損害賠償を求めた訴訟で、機構は、半額を超える分を機構の不当利得と認めて約139万円の返金を命じた一審・札幌地裁判決を不服として札幌高裁に控訴した。控訴は29日付。
原告側は控訴していないが、今後、付帯控訴する方針。
一審では、連帯保証人を含めて複数の保証人がいる場合、各保証人は等しい割合で返済義務を負うとされる民法上の「分別の利益」が適用されるかが争われた。原告側は、機構が保証額の半額を超えて得た分は不当利得だと指摘。さらに、請求時に分別の利益について説明義務を果たさなかったのは不法行為にあたると訴えた。
今月13日の一審判決は、分別の利益は保証人が主張しなければ効果を生じないとする機構の主張を退け、原告の支払い義務は半額だと認定。一方、機構が返済を受けた時点では分別の利益の適用をめぐり複数の見解があったなどとして、「直ちに不法行為に当たるとはいえない」と損害賠償請求は棄却していた。(川村さくら、平岡春人)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル